建設業許可の業種追加とは?必要な要件・費用・手続きを確認

※本記事は、2026年9月19日時点で確認した国土交通省・東京都などの公式情報をもとに作成しています。制度や必要書類、申請方法等は変更される場合があるため、申請時には申請先の最新情報をご確認ください。

「仕事を増やしたい」「新しい種類の工事を受注したい」。そう考えたとき、いま持っている建設業許可だけでは対応できない場合があります。ただし、新しい仕事を受けるからといって、必ず業種追加が必要になるわけではありません。今の許可のままで受けられる工事かもしれませんし、業種追加とは別の申請が必要になることもあります。そのため、最初に確認すべきなのは「業種追加の申請方法」ではありません。これから受けたい工事と、いま持っている許可業種です。

この記事では、受けたい仕事から逆算して、業種追加が必要か、申請できる状態か、何を準備すればよいかを順番に整理します。

まず確認|あなたはどのケース?

※このナビは読み進める場所の目安です。申請できるかどうかを判定するものではありません。

新しい工事に必要な許可業種を確認

建設業許可は、建設工事の種類(業種)ごとに受ける仕組みです。
新しい仕事を受ける前に、その工事が今の許可業種で請け負えるものかを確認します。

今の許可で受けられる?

まず、手元の許可通知書などで自社がどの業種の許可を一般・特定のどちらで持っているかを確認します。
そのうえで、新しく請け負いたい工事と照らし合わせます。

このとき、工事名や社内での呼び方だけで判断しないことが大切です。
同じ「改修工事」「設備工事」という呼び方でも、実際に何を施工するかによって該当する業種は変わります。
見積書や図面、仕様書などから、実際に請け負う工事の中身を見て判断します。

必要業種は工事内容で決まる


「何の業種を追加しようか」から考え始めると、必要のない業種を検討したり、本当に必要な業種を見落としたりするおそれがあります。
考える順番は次のとおりです。

  1. 何を施工するのか(工事の内容)を整理する
  2. その工事に必要な許可業種は何かを確認する
  3. 今の許可業種と比べて、足りないものがあるかを見る

なお、一定の規模に満たない「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、許可がなくても施工できるという制度もあります。
ただし、金額の考え方などに細かな決まりがあるため、この記事では深掘りしません。

判断に迷う場合は、許可行政庁の手引で確認してください。

建設業許可の「業種追加」とは?

業種追加とは、すでに持っている許可と同じ区分(一般なら一般、特定なら特定)で、別の業種の許可を新たに受ける申請のことです。
国土交通省は申請区分を「新規」「許可換え新規」「般・特新規」「業種追加」「更新」に分けて案内しています(国土交通省「許可申請の手続き」)。

業種追加になるケース

国土交通省の整理では、次のどちらかに当たる場合が業種追加です。

  • 一般建設業の許可を受けている者が、他の建設業について一般建設業の許可を申請する場合
  • 特定建設業の許可を受けている者が、他の建設業について特定建設業の許可を申請する場合

たとえば、内装仕上工事業(一般)の許可を持つ会社が、管工事業(一般)の許可を新たに受けるようなケースです。

業種追加にならないケース

すでに許可を持っていても、別の許可を取る手続きがすべて業種追加になるわけではありません。
たとえば次のような場合は、別の申請区分になります。

  • 営業所を別の都道府県に移す、または複数の都道府県に営業所を置くことになり、許可行政庁が変わる場合(許可換え新規)
  • 許可業種をすべて廃業したあとに、改めて許可を受ける場合(新規)

一般・特定をまたぐ申請は?

国土交通省の申請区分では、一般建設業の許可のみを受けている者が新たに特定建設業の許可を申請する場合、または特定建設業の許可のみを受けている者が新たに一般建設業の許可を申請する場合を「般・特新規」としており、業種追加とは別に扱われます。

たとえば、管工事業(一般)のみを持つ会社が、塗装工事業を特定で取りたい場合は、業種が増えるとしても単純な業種追加ではなく、般・特新規に当たります。

ただし、すでに一般・特定の両方の許可を持っている場合などは整理が異なるため、「一般と特定が変わればすべて般・特新規」とは言い切れません。
申請区分によって手数料も異なるため、自社の申請がどの区分に当たるかを確認することが大切です。

業種追加の要件を確認

追加したい業種が決まっても、すぐに申請できるとは限りません。
申請の前に「その業種の許可を受けられる状態か」と「それを資料で示せるか」を確認します。

追加業種の技術要件

業種追加で特に確認が必要になるのが、追加する業種についての営業所技術者等(以前は「専任技術者」と呼ばれていた営業所ごとに置く技術者)です。
資格や学歴・実務経験などにより、追加する業種について営業所技術者等の要件を満たしているかを確認します。
あわせて、その技術者が営業所に常勤していることも必要です。

確認の方法には、たとえば次のようなケースがあります。

  • 資格によって確認するケース:追加する業種に対応する国家資格などを持っている場合。
    資格証の写しなどで確認します。
  • 実務経験等によって確認するケース:対応する資格がない場合など。
    その業種の工事にたずさわった経験を、実務経験証明書などで示します。

今いる技術者がすでに許可を持つ業種の要件は満たしていても、追加したい業種の要件も満たすとは限りません。
どの資格・学歴・経験がどの業種に対応するかは、許可行政庁の手引で確認してください。

要件を証明できるか確認

業種追加では「要件を満たしている」ことに加えて、「それを資料で確認できる」ことが必要です。
両方がそろって、はじめて申請の準備ができたといえます。

特に実務経験で確認する場合は、経験した期間の工事の内容や在籍していたことを示す資料を集める必要があり、手元にない資料を探すところから始まることもあります。
資料の収集に時間がかかる可能性があるため、受注の直前ではなく、早めに確認しておくことが大切です。

東京都の郵送受付の案内でも、技術要件を許可通知書などで証明できず注文書や請求書などによる確認が必要な場合は、窓口での審査が必要になるとされています。
証明の方法によって、申請の進め方が変わることもあるということです。

現在の許可状況も確認

営業所技術者等を用意できれば、必ず業種追加ができるわけではありません。
経営体制や財産的な基礎、社会保険の加入状況など許可の要件は他にもあります。
現在の許可を受けた後に役員や営業所などが変わっていれば、その届出が済んでいるかも確認が必要です。

申請内容や現在の許可状況によって確認すべきことは変わります。
最新の手引を確認し、判断に迷う点は許可行政庁に確認してください。
許可要件そのものを詳しく確認したい場合は、建設業許可を新規で取得するには?もあわせてご覧ください。

業種追加の必要書類

業種追加の書類は、「何を確認するための書類か」で見ると整理しやすくなります。
大きくは申請書と添付書類、そして要件を裏付ける確認資料です。

申請書・添付書類

申請書と添付書類は、追加する業種の内容や会社の状況を行政庁に伝えるためのものです。
東京都は2026年9月10日更新のページで、令和8年度の手引と、新規・追加・更新申請の必要書類を公開しています(建設業許可 手引、申請書類等)。

このページでは、たとえば建設業許可申請書、営業所技術者等一覧表、工事経歴書などの様式が掲載されています。
どの書類が業種追加で必要になるかは、手引の該当ページで確認します。

技術要件の証明資料

業種追加で中心になるのが、追加する業種の営業所技術者等についての資料です。
東京都のページでは営業所技術者等証明書のほか、技術者要件を証明する書類として資格証などの写しや実務経験証明書が案内されています。

  • 資格によって確認する場合:資格証などの写しが中心になります。
  • 実務経験等によって確認する場合:実務経験証明書に加え、経験の内容や在籍を裏付ける資料が必要になります。

どの資料が必要かは、技術者の資格・経験や会社の状況によって異なります。
「この書類さえそろえれば必ず申請できる」と考えず、自社のケースに当てはめて確認してください。

最新の手引で確認する

必要書類や様式、確認資料の取り扱いは変わることがあります。

たとえば東京都では、令和8年7月1日から許可申請や変更届での常勤性の確認資料が変更されたと案内しています(建設業許可申請書類の郵送対応について)。

以前に許可を取ったときの書類をそのまま使えるとは限りません。
準備を始める前に、申請先の最新の手引を確認しましょう。

業種追加の費用と期間

費用は「申請区分の組み合わせ」で決まり、期間は「審査の日数」だけでなく準備の時間も含めて考える必要があります。

業種追加の申請手数料

国土交通省の案内では、同じ許可区分内での追加の許可(業種追加)の手数料は知事許可・大臣許可ともに5万円とされています。
手数料は申請区分ごとに定められており、追加する業種の数で単純に決まる形にはなっていません。

一方で、業種追加と更新を同時に申請する場合や、一般と特定の両方について申請する場合など、申請区分を組み合わせると金額が加算されます。
大臣許可の手引では、たとえば「業種追加+更新」の場合の手数料が別に示されています。

自社の申請がどの組み合わせに当たり、いくらになるかは、申請先の最新の手引で確認してください。

許可までどれくらいかかる?

申請してから許可が出るまでの審査期間(標準処理期間)は、許可行政庁ごとに定められており、全国で一律ではありません。
また、書類の補正や追加の確認が必要になればその分だけ延びることがあります。

さらに、実際に新しい仕事を受けられるようになるまでには、審査期間の前後にも時間がかかります。

  1. 必要な業種・要件の確認
  2. 証明資料の収集
  3. 申請
  4. 審査
  5. 許可
  6. 受注

特に実務経験で技術要件を示す場合は、資料集めに時間がかかることがあります。
「来月から仕事を受けたいから、今日申請すれば間に合う」と考えるのではなく、受注したい時期から逆算して準備を始めましょう。

業種追加の流れ

ここまでの内容を、実際に進める順番にまとめます。

STEP1

受けたい工事を確認する

何を施工するのか、工事の中身を整理します。

STEP2

必要な許可業種を確認する

必要な許可業種を確認し、今の許可業種と比べます。

STEP3

業種追加に該当するか確認する

今の許可と同じ区分での申請か確認します。般・特新規など別の区分に当たる場合もあります。

STEP4

追加できる要件を確認する

営業所技術者等をはじめ、必要な要件を満たしているか確認します。

STEP5

証明資料をそろえる

資格・実務経験等、自社のケースに応じて資料を準備します。

STEP6

業種追加を申請する

申請先の最新の手引に従って申請します。

STEP7

許可後に新しい仕事へ

その業種の建設業許可が必要となる工事を請け負う場合は、許可を受けてから受注します。申請しただけでは、その業種の許可を取得したことにはなりません。

更新と業種追加は一緒に申請できる?

更新と業種追加は、同時に申請できる場合があります。
ただし、受け付けの条件や時期は許可行政庁によって異なるため、申請先の案内で確認が必要です。

更新と業種追加の同時申請

大臣許可の手引では、「業種追加+更新」が申請区分の一つとして示されています。

東京都の郵送受付では、更新申請と業種追加申請を一本化できるのは、手数料の入金時点で許可の有効期限まで30日以上ある場合に限るとされています。

それ以外の場合は別々の申請書を作成し、業種追加の許可通知は更新の許可通知の後になるとの案内です(建設業許可申請書類の郵送対応について)。
これは東京都の郵送受付についての条件であり、全国共通のルールではありません。

許可日をそろえる「一本化」

業種追加で許可を受けると、すでに持っている許可とは許可日や有効期間が異なる状態になることがあります。
業種ごとに更新時期がずれると管理の手間が増えるため、許可日をそろえる「一本化」を検討する場合があります。
一本化の方法や条件は、申請先の手引で確認してください。

更新が近いなら早めに確認

業種追加の準備に時間を取られて、今の許可の更新手続きが遅れてしまうと、本末転倒です。
業種追加を考え始めたら、現在の許可の有効期限もあわせて確認しましょう。

更新の期限や手続きについては、建設業許可の更新はどうする?で解説しています。

自分で申請する?行政書士に頼む?

業種追加は、自社で申請することもできます。
どちらを選ぶかは、社内で必要な確認と準備をどこまで進められるかで考えるとよいでしょう。

自分で進める場合

申請先の公式の手引を読み、必要な業種、要件、証明資料を自社で整理できる場合は、自社で申請を進める選択肢があります。
各行政庁は手引や様式を公開しており、窓口で相談できる場合もあります。

相談を検討したいケース

一方で、次のような状況では、早い段階で専門家と一緒に整理する意味があります。

  • 受けたい工事に、何の許可が必要か分からない
  • 実務経験で要件を示せるか判断しづらい
  • 元請や取引先から取得を求められている
  • 受注予定日が決まっている
  • 更新の時期も近い

こうした場合は、どの申請区分に当たるか、どの資料で要件を示すかによって、準備にかかる時間が大きく変わることがあります。

仕事を増やすなら必要な許可を確認

業種追加は、書類を作って出すだけの手続きではありません。
受けたい仕事から逆算して、次の順番で確認していくことが大切です。

  1. 取りたい仕事は何か
  2. その仕事に必要な許可業種は何か
  3. 業種追加に当たるか(般・特新規など別の区分ではないか)
  4. 要件を満たしているか
  5. それを資料で証明できるか
  6. 申請

「業種追加をしたい」と完全に整理できてから相談する必要はありません。
「こういう仕事を受けたい」「取引先からこの業種を取ってほしいと言われた」という段階からでも、現在の許可状況を確認しながら、必要な手続きを一緒に整理できます。

行政書士法人プラットフォームでは、まずお話を伺い、訪問またはお電話で状況を整理するところからご相談をお受けしています。

建設業許可の更新・業種追加について相談する

よくある質問

Q. 業種を複数追加することはできますか?

A. 可能です。ただし、追加する業種ごとに営業所技術者等の要件を満たし、それを資料で示す必要があります。

Q. 2業種追加すると申請手数料も2倍になりますか?

A. 国土交通省の案内では、手数料は申請区分ごとに定められており、業種の数で単純に倍になる形ではありません。
更新などと組み合わせる場合は加算されるため、申請先の最新の手引で確認してください。

Q. 追加したい業種の資格を持っていない場合はどうなりますか?

A. 資格がなくても、業種や一般・特定の区分によっては、学歴や実務経験等によって要件を満たせる場合があります。
その場合は経験などを裏付ける資料が必要になるため、早めに確認を始めましょう。

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